食物は、穀類、野菜・果物、魚介類、肉類に大別される。

主な穀物にはイネ、ムギ、トウモロコシがある。穀類の主成分は炭水化物で、エネルギーの供給源として重要な役割を果たしている。平均的な含有量は、炭水化物70%、タンパク質10%、その他ビタミン・ミネラル・水分などで約18%である。イネとトウモロコシは夏穀類、ムギは冬穀類である。ムギは、小麦、ライ麦、大麦などを含む。原産地は、イネはアジア、ムギは西アジア、トウモロコシは中南米である。これらの穀物は、世界各地に広がると共に土地に適応する多様な品種が生まれている。イネは、東アジアから南アジアが主要産地である。ムギはイネよりも栽培範囲が広く、欧州の他にインド北西部、中国華北地方などで栽培されている。トウモロコシはユーラシアのほぼ全域で栽培されている。イネは精白し、白米として食べるのが一般的であるが、ホールフード状態の玄米は栄養的に優れている。麦は冬に栽培される穀類であり、ユーラシア大陸の西半分で多く作られている。麦には小麦、大麦、ライ麦等、様々な品種があるが麦という括りの言葉は西洋には無く、それぞれ独立した品種名が用いられている。現代の食事に用いられる主なものは、小麦とライ麦である。 小麦は粉に挽かれ、パンや麺類に加工して消費される。現代のパン小麦は8000年前頃に出現したと言われている。ライ麦は北欧等、寒く土地がやせた地域で作られ、主にパンに使われる。イネは粒のまま食べる粒食が中心であるのに対し、ムギは粉にして食べる粉食が主である。これは、ヒトはデンプンを消化するために穀類を加熱して食べる必要があったことが原因と思われる。イネが栽培された東アジアでは、16000年前に土器が発明されており、かつ水が豊富なため煮炊きが選択された。一方、ムギが栽培されたのは乾燥地帯であるため、粉にした後に水で捏ねて焼き上げる方法が選ばれたと考えられる。トウモロコシは、原産地では煮て粒状態か、すり潰してパン生地に加工して食べられる。粉食を採用する地域もある。現代では、トウモロコシは飼料用や工業用消費がほとんどで、人の食用となるものは少ない。

「野菜」とは、食用となる草本植物の総称である。そして、食べる部位により根菜類、茎菜類、葉菜類、果菜類、花菜類に分けられる。野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む。よく食べる野菜には、ニンジン、玉葱、トマト、じゃがいも、キャベツなどがある。

一方、樹木性で多年にわたって収穫が可能なものは「果物」呼ばれる。果物はビタミン、ミネラル、フィトケミカルを多く含む。果物に含まれるビタミンやフィトケミカルが持つ抗酸化作用は活性酸素を取り除く働きがあり「アンチエイジング」にも効果がある。

ナッツ類は木の実や種の一部を食用とするものである。それ故にナッツは成長を支えるための栄養成分が豊富に含まれている。また不飽和脂肪酸や食物繊維も豊富である。

魚介類には魚、貝、甲殻類などが含まれ、これらは良質タンパク源である。またビタミン、ミネラルや、高度不飽和脂肪酸をはじめとする多様な機能性成分を多く含んでいる。一方で水銀などの重金属を含む場合があり、大型魚の過剰摂取は注意を要する。

肉類は優れたタンパク源であり、代表的なものに牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉がある。またビタミンやミネラルを多く含む。含まれる栄養素は、肉の種類や部位により違いがある。肉類は大部分が家畜から得られるため、飼育条件に注意が必要であり、抗生物質や成長ホルモン剤が残留している場合もある。

有史以前のヒトは狩猟採集生活を営み、食物は自然界から入手していた。分業が進んだ現代では、食物はほとんどが人工的に生産されている。その生産工程では経済効率性が重視されるため、農薬の使用のように、ヒトの健康に悪影響を与える場合が起こり得る。健康を重視するなら、農薬等を使用せず有機栽培された食物を選択すべきである。また可能であれば、自家栽培がベストである。