ヒトの意識は、自身の生存可能性拡大を目的として生み出された。ヒトは、他の種には無い大きな脳を発達させ、その中に強力な心の理論と思考力を持つ。700万年前のヒトへの遷移期には現代の類人猿と同等の500cc弱であった脳容量が、200万年前のホモ・エレクトス時代に約1000ccへ、現生人類では1400cc程度へと増加している。脳容量増大の理由として、二足歩行による手の使用、肉食の拡大や火を用いた調理による栄養摂取量の増加や社会集団形成による心の理論の発達などが挙げられている[1]。ヒトは、集団社会の形成過程で他者とのやり取りを通じて心の理論を磨き上げたと思われる。心の理論はヒト内部に自意識と想像力を育み、ヒトはそれらを用いて自身の存在と行為を正当化するために様々な物語を作りだした。世界に対する理解が進み、価値観も激変した現代では、従来のヒトの存在動機は既に時代遅れとなっている。意識は身体と一体であり、意識の不調は身体の不調を招く。健康維持には意識の持ち方が重要である。

[1] ロビン・ダンバー、人類進化の謎を解き明かす、インターシフト、等