食物の自家栽培は実験農場と実験ポタジェにて行う。ただし両者ともに問題がある。農場は遠隔地にあり、作業は月に一度程度しか出来ない。一方、ポタジェは荒れ地を菜園に転用したばかりであり、土壌条件が極めて悪い。農場ではイモ類や麦などの粗放栽培が可能な品種を生産することにする。ポタジェは土壌改良を進めながら徐々に収穫を上げる取り組みを行う。いずれにせよ、安心できる野菜の入手が目的であるため、極力手間と時間をかけずに効果を上げる方策に取り組む。これらの自家栽培では、農場においては「遠隔地粗放栽培技術の開発」、ポタジェでは「多品種混植による無農薬有機栽培法の開発」という二つのテーマに取り組む。
農場、ポタジェともに雑草と野生動物の食害の対策が必要である。農場は水田地帯にあり広さが約3000㎡であるため、大半を防草シートで覆うことで草刈り工数を削減している。一方、ポタジェは枕木でライズドベッドを形成し、雑草取りの手間を減らす。またポタジェは準山間部にあるため鹿やタヌキなどが出没する。そのため、ベッドにポールを立て、ネットを張ることで害獣や鳥の食害を防止する。
農場での栽培品種は、冬季は麦、夏季は里芋、サツマイモに加え、カボチャとスイカに取り組む。農場は水田からの転用であるため、土中の水分が高いと思われ、畝が十分作れなかった初期では、作物の出来栄えは良くなかった。現在5年目に入るが、ようやく少しではあるが、まともな野菜が収穫できるようになったいる。
ポタジェは3年目に入るが、昨年までは苗を植えても成長しないまま夏が過ぎてしまい、もちろんまともに収穫できなかった。今年は、冬に丸太や雑草などの有機物をベッドに埋め込んだためか、昨年に比べて状況は改善されている。特に里芋が大きく育っている。トマトも大小の品種が実りだしている。土壌細菌が増えてきたのではないかと期待している。特に雑草を刈り取って積んでおいたところ(ベッドの外)で、こぼれ種から育ったのであろうカボチャとトマトが良く成長している。特にカボチャは蔓が大暴れしており、フェンスをよじ登り実をつけるなど、良い生育状態を示している。この有機物の大きな肥料効果に着目し、刈草をベッドに埋め込むことにする。コンポストで堆肥作りを実行しているが、毎日の排出量が少ないためか中身がなかなか増えない。ポタジェ周辺の雑草の活用が効果的と思われる。
カボチャの大暴れは農場でもみられ、雑草の上にカボチャの葉が茂り四方へと蔓を伸ばしている。草をかき分けて実を探すのが一苦労である。昨年は草刈り機でカボチャの実を切ることが多発したので今年は慎重に行う。