ここでは食物に含まれる人工の化学物質を食品添加物と総称する。人は食物から栄養素を抽出し、体内のシステムを用いて代謝を行う。そして生命エネルギーや体組織を作り出す。代謝は化学反応である。代謝には様々な物質が関与しており、このシステムの働きには未知の部分も多い。自然界の食物には、このシステムの働きを阻害する物質も存在しており、それらは毒物と呼ばれる。自然界の毒物に対しては、人類史上の長い体験から回避方法が得られている。一方で、ヒトが人工的に作り出した化学物質は安全性が十分に担保されているわけではない。近年の食品には食品添加物が含まれていることが多い。食品添加物は食品の利便性や食味などの商品性向上のために添加される化学物質であり、機能によって分類され、保存料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、乳化剤、膨脹剤、着色料、増粘剤など多種多様である。ほとんどは人工の化学物質であり、使用による人体への悪影響が指摘されているものも多く、各国で使用量規制が実施されている。加えて、生産時に使用されて食材に残留している化学物質にも注意が必要である。これには植物の残留農薬、輸送時の防カビ剤や燻蒸剤、家畜や魚介の養殖時に投与される抗生物質等がある。食品添加物や農薬などの危険性は明確ではないが、安全性が保障されている訳でもない。後になって有害性が確認される場合も多い。人体の生命システムが十分に解明されていない現状では、安全性が曖昧なものは避けるのが賢明である。また食品添加物には不純物が含まれている。この不純物に対する安全性評価はほとんどなされていない。これも不安要因である。不純物による事故の典型例が森永ヒ素ミルク事件である。さらに現状の食品添加物の大半は中国を始めとする海外生産であり、十分な安全性が担保されているわけではない。人体耐性の基準値を下回るから安全という議論があるが、そもそも安全基準の信頼性が揺らいでいる現状では当てには出来ない。長期の体内蓄積や様々な化学物質の複合効果などを考慮するなら、食品添加物の摂取は極力避けるのが望ましい。 
 加えて、食品添加物摂取には、人体にとって「ミネラル不足による生理機能の低下」という間接的な危険性がある。ミネラルは生命維持に不可欠な微量栄養素である。カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などは、神経伝達、免疫、酵素活性、細胞修復、酸化防止などに関与しているが、食品添加物を摂取すると、その毒性緩和にミネラルが使われる。多くの食品添加物(保存料、着色料、香料など)はプラスイオン性の有害物質として体内に入るが、これに対し、ミネラル(マイナスイオン性)はそれらを中和・キレート化し、無毒化・排出に寄与する。つまり、添加物の摂取は体内のミネラルを消費する。そのため、添加物の常習的摂取は慢性的ミネラル不足を招く。現代の食生活では、加工食品・清涼飲料・冷凍食品などに広く添加物が使用される一方で、日常的に摂取されるミネラル摂取量が減少傾向にある。その結果として、ミネラルの供給<消費という不均衡が生じている。
 ミネラル不足が引き起こす健康リスクには、酵素活性の低下による代謝障害、神経伝達の異常による情緒不安定、集中力低下、免疫力の低下による感染症リスク増加、骨・歯の脆弱化による骨粗しょう症、虫歯、特に子どもでは、アレルギーや情緒不安定の増加などがある。すなわち、添加物には「直接的毒性」だけでなく「ミネラル消費による間接的影響」という危険もある。添加物の安全性評価は、単体での急性毒性や発がん性などに偏りがちであるが、ミネラル消費という代謝的負荷を考慮すれば、添加物の健康影響はより広範かつ慢性的と言える。食品添加物の危険性は「ミネラル消費による生理的脆弱化」という観点からも再評価されるべきである。

食品に含まれる添加物などの人工化学物質
1.合成保存料(ソルビン酸、安息香酸の類、例えばソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸、安息香酸ナトリウムなど))食中毒防止のため多くの食品に使用されている。腸内細菌への悪影響と発がん性の懸念があり、我々は食中毒との兼ね合いで選択することになる。

2.発色剤 (亜硝酸塩、主に亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硝酸ナトリウム) 亜硝酸塩は、安定した食肉の色を保持する効果のほか、ボツリヌス菌をはじめとして多種類の細菌の生育を抑え、食肉製品の腐敗を防止する働きを持つ。一方で、この物質は食肉に含まれるアミンと結びついてニトロソアミン類という発がん性物質に変化するため、摂取し続けると、がん発症の危険がある。また、亜硝酸塩が赤血球中のヘモグロビンと結合すると、酸素の運べないメトヘモグロビンに変化し、肺から各器官へ十分な酸素を運ぶことができず、酸欠状態に陥り(メトヘモグロビン血症)、重度の場合は死亡することもある。亜硝酸塩を添加しているハムやソーセージは避けたい。また、窒素肥料過剰の下で栽培された野菜にも多くの硝酸塩が含まれる。特に緑色が濃い野菜、ホウレンソウ、レタスなど、は要注意。硝酸カリウムはチーズ、硝酸ナトリウムは清酒や食肉製品に使われている。

3.抗生物質と成長ホルモン(エストロゲン、ラクトパミンなど) 共に家畜や養殖魚に多用されている。過密養殖での発病抑制のため多量の抗生物質が使用される。一方で、抗生物質は成長ホルモンと共に家畜の成長を早めるために投与されることもある。抗生物質を含む食品を食べると腸内細菌がダメージを受け、健康を損なう。また食肉を介して抗生物質耐性菌に感染する危険もある。エストロゲンは癌発症の危険性があり、ラクトパミンは血管系の病気を誘発する。両社とも、特に米国産の牛肉や豚肉に多い。また養殖サケ(特にチリ産)は抗生物質と共に重金属汚染も顕著であり回避すべき食品である。

4.遺伝子組み換え食品(GMO) GMOは作物のタンパク構造を変えるため、免疫機構が異物と判断して攻撃する。その際に自分の細胞も攻撃する場合があり、自己免疫疾患やアレルギーなどを引き起こす。自閉症、ADHDなどの原因としても疑われている。また遺伝子は単独ではなく広範囲のネットワーキングで機能する部分もあり、一部の改変が想定外の不都合を起こす可能性が大きい。いずれにせよ遺伝子改変した生物は奇形であり、そのようなものを体内に取り込むべきではない。

5.着色料(合成着色料:タール色素、赤・青・黄色に番号が付いたもの、天然着色料:カラメル色素、アナトー色素、紅花色素、コチニール色素など)合成着色料は、アレルギー反応、子どもに多動性や注意欠陥(ADHD)のリスク、発がん性、腸内環境への影響が懸念される。天然着色料のうちカラメル色素Ⅰは安全性が高い。

6.人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム)腸内細菌にダメージを与え、また食後血糖値を下り難くし、糖尿病を誘発する。また、人工甘味料は肥満、心臓病やがんを引き起こし、死亡リスクを高める。 抑うつや不安などの精神神 経作用があり、その影響は扁桃体の遺伝子発現の変化により子孫まで続く可能性さえ指摘されている。妊婦では人工甘味料による早産の危険性もあり、エビ デンスはまだ少ないが成長期である小児への影響も心配される。

7.乳化剤 乳化剤には主に8つの目的や役割(乳化、起泡、消泡、分散、湿潤・浸透、滑沢、可溶化、洗浄)がある。乳化剤の実体は、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンエステル)、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖エステル)、レシチン(植物レシチン、卵黄レシチン)、サポニンなど。
  グリセリン脂肪酸エステルは、油脂抽出の脂肪酸とグリセリンの反応物質。最も多用される乳化剤(豆腐用消泡剤、デンプンの品質改良剤など)。ショ糖脂肪酸エステルは、水溶性のショ糖と植物由来の脂肪酸の反応物質。レシチンは、大豆の種子やアブラナ、卵黄の油脂から抽出したリン脂質。サポニンは、キラヤの樹皮、大豆の種子、チャの種子などから抽出した天然由来の乳化剤、高い抗酸化力がある。
 乳化剤は、パン、アイスクリーム、チョコレート、ホイップクリーム、バター、マーガリン、マヨネーズ、魚肉練り製品(ソーセージ、ちくわなど)、ドレッシングなどに使われている。乳化剤の大量摂取は、炎症性腸疾患や肥満、2型糖尿病のリスクを高める可能性がある。また、乳化剤が腸内細菌の多様性を低下させ、炎症性腸疾患を悪化させる懸念もある。さらに、乳化剤の過剰摂取は代謝へ悪影響を及ぼし、肥満や耐糖能異常(糖尿病の前段階)につながる可能性がある。加えて、乳化剤は腸粘膜の油を奪いバリア機能を失わせてしまうため、リーキーガット症候群の原因となりうる。乳化剤は腸内フローラを変化させ炎症を引き起こし、肥満や糖尿病を誘発する可能性がある。

8.増粘多糖類 水に溶解または分散して、食品に粘性や接着性をもたせる食品添加物、使用目的により、増粘剤、安定剤、ゲル化剤と3つの呼び方がある。代表的な増粘多糖類は、ペクチン(食物繊維から抽出された天然の多糖類、主成分は、メチル化ポリガラクチュロン酸)、キサンタンガム(澱粉を細菌で発酵させたもの、グルコール、マンノース、グルクロン酸など)、カラギーナン(海藻に含まれる多糖類で、主に赤藻類から抽出、ガラクトース、アンヒドロガラクトースなど)である。カラギーナンは国際がん研究機関(IARC)が発がん性を指摘しており、胃潰瘍との関連性も懸念されている。また、分解されると潰瘍性腸炎を引き起こす可能性がある。さらにキサンタンガムなど、一部の増粘多糖類は遺伝子組み換え作物が原料となっている可能性がある。複数の増粘多糖類を使用した場合、「増粘多糖類」とだけ表示されることがあり、使用されている原料が不明となる。

9.防カビ剤(イマザリル、オルトフェニルフェノール(OPP)・オルトフェニルフェノールナトリウム、チアベンダゾール(TBZ)、フルジオキソニル。
 日本で売っているフルーツは、海外産の輸入品が多いため、輸入の途中で傷んだり、カビが増殖するのを防ぐために、防カビ剤を使用している。主にオレンジやレモン、グレープフルーツなどの柑橘類や、バナナをはじめとした、フルーツなどの農産物に使用されている。フルーツに使用された際には、表面だけではなく、果肉にも浸透している可能性が考えられる。
 TBZには、遺伝子損傷性、変異原性、染色体異常、発ガン性などの危険性が疑われている食品添加物です。イマザリルは、長期または反復曝露により肝臓に影響を及ぼす可能性があり、機能障害や組織損傷を引き起こすことがある。オルトフェニルフェノール(OPP)は、皮膚、目、気道への強い刺激性があり、吸入すると肺水腫、経口摂取すると中枢神経系への影響を引き起こす可能性がある。また、発がん性の疑いもある。オルトフェニルフェノール ナトリウム(OPP-Na)は、柑橘類などの防カビ剤や、皮革、木材、巻きすなどの防腐剤として使用される。2-フェニルフェノールのナトリウム塩であり、カビ類に対する優れた制菌作用を持つ。遺伝毒性や発がん性に関する懸念が指摘されたことがある。チアベンダゾール(TBZ)は、動物実験で催奇形性、染色体異常、および肝臓・腎臓・甲状腺への影響が報告されている。特に妊娠中の女性は、摂取を避けるべき。フルジオキソニルは、高濃度で吸入・摂取すると中枢神経系、肝臓、腎臓、肺に影響する可能性がある。

10.たん白加水分解物 たんぱく加水分解物とは、大豆や肉などのタンパク質をアミノ酸やペプチドに分解して作られたもので、食品にうま味やコクを出すために使われる。製造方法には、塩酸などを使う「酸加水分解」と、酵素を使う「酵素分解」がある。うま味やコクを出すために、ラーメンスープ、かまぼこ、ハンバーグ、カレーなど、様々な加工食品に使用されている。
たんぱく加水分解物には、発がん性物質の副生成物やアレルギー誘発のリスクが指摘されている。特に、塩酸で分解する製造工程でクロロプロパノール類という発がん性や変異原性が疑われる不純物ができる可能性があり、注意が必要。また、原料にアレルギーがある場合、たんぱく加水分解物を経由してアレルギー症状が誘発される可能性もある。

11.酵母エキス 酵母エキスとは、酵母が蓄えているアミノ酸やペプチド、核酸といった風味・呈味成分を抽出して「調味料」化したもの。「食品添加物」ではなく「食品」に分類されているため、「無添加」表示となる。酵母エキスの原料となる酵母は、醸造工業において破棄物として副生するビール酵母等であった。ただし現在では、天然の酵母菌から取り出されたものではなく、人工的に作られた酵母から作られるものが増えている。“酵母エキス=天然調味料”という印象を受けるが、実体は工業的生産の産物である。また効率向上のため、塩酸分解法でタンパク質を分解する場合は、発がん性が懸念されるクロロプロパノールなどの副生成物を生じる場合がある。またタンパク質の分解が中途半端な酵母エキスが使用された場合は、喘息発作や痒み等のアレルギー症状を起こしたという事例もある。いずれにせよ安全性を判断するなら、原料となる酵母の正体を知りたいものである。

12.パーム油 パーム油は、「アブラヤシ」という植物から採れる植物油。2019年で約7,500万トンのパーム油が生産されている。使用名称は、パーム油、植物油。植物油脂、ショートニング、マーガリン、グリセリン、界面活性剤などである。また市販の揚げ物にはパーム油が使われていることが多い。パーム油の安全性については、健康への懸念と、一般的な安全性に関する懸念の両方が指摘されています。飽和脂肪酸を多く含むため過剰摂取は肥満や生活習慣病のリスクを高める可能性がある。また動脈硬化症(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞)を誘発する危険がある。長期間の輸送時に酸化防止剤BHA(ブチルヒドロキシアニソール)が大量に添加される場合があり、発がん性が懸念される。パーム油は広範囲の食品に使用されているため過剰摂取になりやすく注意が必要。

13.加工でん粉 加工でん粉は、自然なでん粉を工業的に変性させたもので、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、乳化剤の用途で使用される食品添加物。実体は、アセチル化アジピン酸架橋デンプン・アセチル化酸化デンプン・酸化デンプン・ヒドロキシプロピルデンプン・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンなど12種類。ヒドロキシプロピルデンプン・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンは発がん性が懸念される。どちらも冷凍が可能なため、でんぷん老化防止のため冷凍食品などに使用される。欧州では幼児向け食品への使用を禁止。

14.リン酸塩(重合リン酸塩、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなど)作り立てのフレッシュ感、冷凍耐性を高めるために使用。食品では、膨張剤、pH調整剤、乳化剤(チーズ)、かんすいと記載されることもある。腸からのミネラル吸収を阻害する。カニカマ、ちくわ、はんぺんなどの練り物には表示義務はない。魚肉と書いてあると要注意。

15.残留農薬 グリホサート、ネオニコチノイド系農薬など。
 代表的な農薬として、グリホサートとネオニコチノイド系農薬がある。グリホサートはモンサント社開発(現バイエル社が買収)の除草剤であり、グリホサート耐性を持たせたGM植物(小麦、大豆、トウモロコシなど)と込み合わせて使用されている。また小麦などのプレハーベスト用にも使用される。米国を中心に小麦や大豆の生産に多用されている。グリホサートは、酵素阻害作用があり、特に腸内細菌に悪影響を与え、リーキーガット症候群の原因の一つと言われている。遺伝子組み換え植物はグリホサートを含んでいると考えられ、北米等の輸入小麦(大部分のパン、麺類がこれに該当)や大豆(納豆や豆腐など)、とうもろこしを使用する食品は避けるべきである。グリホサートは、発がん性が強く疑われており、内分泌攪乱作用もある。また自閉症などの発達障害を引き起こすことが報告されている。グリホサートは水や食べ物を介して人体を汚染し、尿や母乳からも検出されている。人が飲む飲料水の濃度に匹敵する、4μg/kg/日というごく微量のグリホサートを摂取し続けただけで、肝臓がんに至る可能性が高い非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が起きていたという報告がある。また低体重児出産を招く可能性があり、その赤ちゃんは将来的に、糖尿病、高血圧、心臓病、認知能力の低下、メタボリック・シンドロームになるリスクが高まる可能性がある、と医師が指摘している。さらに、出生前及び出生後1年目までにグリホサート系農薬に暴露した子どもが、暴露していない子どもに比べて、自閉症スペクトラム障害(ASD)になるリスクが高いことが示されている。腸内細菌への影響も問題であり、グリホサートやジカンバが抗生物質耐性菌を増やすことや、グリホサートが免疫システムにかかわる腸内フローラに変化をもたらすことが指摘されている。
飼料を介したグリホサート汚染にも注意が必要である。主に小麦や大豆などの飼料用穀物にグリホサートが残留し、それを食肉や卵などを介して人体に取り込む危険がある。グリホサートの規制強化が世界の主流であるが日本は逆に緩和傾向にあり、特に摂取回避に注意が必要である。
 ネオニコチノイド系農薬 ネオニコ系農薬とは、タバコのニコチンに似た化学構造を持ち、昆虫の神経伝達を阻害して殺虫効果を発揮する農薬の総称である。一方で、ミツバチなどの有用昆虫や、人間を含む生態系全体への影響が懸念されており、世界的に使用が制限される動きが広がっている。ネオニコチノイド系農薬は、イネの他、キャベツ、白菜などの他、林檎などの果実にも使われる。根、茎、果実など植物内部への浸透性が高く、洗っても落ちない。
ネオニコ系農薬は、腸管粘膜、脳血液関門、胎盤を通過し、哺乳類では中枢神経系、自律神経節、神経筋接合部に関連する広範な症状を起す。哺乳類の神経系にも影響を与える可能性があり、頭痛、記憶障害、手指の震え、注意力の低下などの症状が報告されている。また、胎盤や血液脳関門を通過するため、胎児や乳幼児の脳発達に悪影響を及ぼす可能性がある。注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)との関連も示唆されている。一部研究では、免疫抑制作用やホルモンかく乱作用の可能性も指摘されている。ネオニコチノイド系農薬の使用量の増加に対応して子供の発達障害が増加しているという報告もある。
ネオニコチノイド系農薬は、根や葉から吸収され、植物全体に移行するため、果実・葉・花粉・蜜などにも残留する。また、長期間効果が持続するため、作物の収穫時にも残留している可能性が高い。表面だけでなく内部に浸透しているため、水洗いや皮むきでは完全に除去できない。鹿児島県の調査では、はちみつ・茶・みかん・ピーマンなどからネオニコチノイド系農薬(アセタミプリド、ジノテフラン、ニテンピラム)が検出されている。

16.個別食品での留意点
 ワインの酸化防止剤
 亜硫酸塩、メタカリ(「**ピロ亜硫酸カリウム(二亜硫酸カリウム)の通称、「亜硫酸塩」や「メタ重亜硫酸カリウム」と表示される )などが、主にワインなどの酸化防止剤や保存料として使われる。防腐・殺菌効果があり、有機合成の原料や漂白剤としても用いられる。低濃度では健康への悪影響は無いという主張が多いが、国内規制値の350mg/Lは、EUの規制値(赤ワイン150mg/L、白ワイン200mg/L)と比べ緩すぎる。個人差もあるが、悪影響が無いのは40mg/Lという意見もある。ちなみにEUのオーガニックワインは100mg/L以下である(日本のオーガニックワインは350mg/L)。亜硫酸塩はワイン品質保持に必要であり、またワイン醸造時の自然発生もあり、亜硫酸塩ゼロのワインは不可能であるが、製造や保存時の環境の改善で添加量の低減は可能である。コスト最優先の低価格ワインは、多量の酸化防止剤添加により品質を保持していると思われるため避けるのが無難である。健康のためにワインを飲むなら、生産者が有機栽培に取り組んでいる、オーガニックワインを選ぶべきである。この場合は同時に農薬の害も回避できる。
 
コーヒーの防カビ剤
 コーヒーのカビ毒には、アフラトキシンとオクラトキシンAなどがある。主に不適切な栽培や保管によって発生する。これらのカビ毒は発がん性があり、熱に強い性質を持つため、焙煎しても毒素が完全に消えない場合がある。カビ毒防止のため、日本に輸入されるコーヒー豆は、臭化メチルやリン化アルミニウムなどを用いて「燻蒸処理(くんじょうしょり)」が施される。これらの防カビ剤は毒性が高く、臭化メチルは、吸入や皮膚からの吸収によって神経系・呼吸器・肝臓・腎臓などに深刻な影響を及ぼす可能性があり、リン化アルミニウムは、水分と反応してホスフィンガスを発生させ、吸入した場合、呼吸困難、咳、肺水腫、意識障害などを引き起こして重度の場合、心不全や死亡に至ることもある。また、誤って摂取(経口)した場合、嘔吐、腹痛、肝腎障害などの全身症状を引き起こす。さらに、特定標的臓器毒性(単回ばく露)があり、心血管系、呼吸器系、神経系、肝臓、腎臓に影響を及ぼす。極めて危険な物質が防カビ剤として使用されている。これらの防カビ剤を避けるにはオーガニックコーヒーを選ぶ必要がある。