主な果物には、林檎、柑橘類(蜜柑、檸檬、甘夏)、葡萄、柿、苺、バナナ、キウイ、ブルーベリーがある。
林檎
 林檎の主な栄養素には、ポリフェノール、食物繊維、カリウム、ビタミンC、リンゴ酸などがあり、抗酸化作用、整腸作用、血圧の調整、疲労回復などの健康効果が期待できる。特に皮には栄養が豊富に含まれているため、皮ごと食べるのが良い。しかしながら、林檎栽培では農薬が多量に使用されるため、皮を厚めに剝いて食べろとも言われる。皮ごと食べるには化学合成農薬不使用の林檎であることが前提。農薬を使わない栽培は1980年代の木村秋則氏の取り組みとその成功を契機として広がっており、今では多くの生産者が化学合成農薬を使わない栽培に取り組んでいる。
バナナ
 バナナには、炭水化物、食物繊維、カリウム、ビタミンB6、ポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれている。バナナは生産時に化学肥料や化学合成農薬(殺虫剤など)を使用するため、残留農薬の懸念がある、害虫を避けるため、多くのバナナは熟していない青い状態で輸入され、国内の専用施設でエチレンガスなどを用いて追熟させてから販売される。害虫が見つかった場合は、密閉された倉庫でガス剤を使用し殺虫される。使用されるガスは青酸ガス(シアン化水素)が使われることが多い。無農薬バナナは「生活クラブ」などで手に入るが、最近はイオンでもJAS認定バナナを扱っている。
葡萄
 葡萄の主な栄養素は、ブドウ糖、カリウム、ポリフェノール(アントシアニン、レスベラトロール、プロトシアニジンなど)、ビタミン、ミネラルである。また、葡萄に含まれているリンゴ酸や酒石酸には抗酸化や抗菌性がある。これらの栄養素には、疲労回復、眼精疲労の軽減、動脈硬化予防、むくみ予防、アンチエイジング効果などが期待できる。林檎と同様に、皮や種に栄養が豊富なので、皮ごと食べるとより多くの栄養を摂取できる。皮ごと食べるには、化学物質無しの栽培に取り組む生産者から取寄せた葡萄が良い。塩尻市の「かどや農園」では化学合成農薬を使わない有機ブドウのぶどう狩りができる。
キウイ
 ゴールドキウイは、特にビタミンCが豊富で、1個で1日の必要量を摂取できる。また、ビタミンE、カリウム、葉酸なども含んでおり、美肌効果や抗酸化作用、免疫機能の維持、ストレス軽減などの健康効果が期待できる。
 グリーンキウイには、豊富な食物繊維、消化を助けるアクチニジン、ビタミンC、カリウム、葉酸などが含まれている。腸内環境の改善、消化促進、免疫機能の維持、美肌効果などが期待できる。ゴールドキウイと比べて食物繊維の含有量が多いがビタミンCが少ない。
蜜柑
 蜜柑には、ビタミンC、ビタミンA(β-クリプトキサンチン)、食物繊維、カリウム、ヘスペリジン、クエン酸などの栄養素が豊富に含まれている。これらの栄養素は、免疫力向上、美肌効果、便秘解消、高血圧予防など、さまざまな健康効果が期待できる。みかんの薄皮や白い筋には、食物繊維やヘスペリジンといった重要な栄養素が含まれているため、これらを取り除かずに食べることが推奨される。ただし、蜜柑は残留農薬の懸念が大きい。2025年9月、台湾で大分産の温州ミカンが基準以上の残留農薬が検出され輸入不可となった。8月下旬にも佐賀産の温州ミカンが不合格となっている。日本の慣行栽培の蜜柑は安全ではないと思われる。皮を剝くだけでは不十分であるため、無農薬蜜柑の入手が必要。また蜜柑は、スペースさえあれば、自家栽培も可能である。
檸檬
 檸檬は、ビタミンC、クエン酸、リモネン、葉酸、カリウム、食物繊維、βカロチン、ポリフェノールなどを含む。特に皮にはリモネンの他、エリオシトリン、ルチンなどが含まれる。これらの栄養素は、美肌効果や疲労回復、免疫力向上、抗酸化作用、血行促進、むくみ解消などの効果が期待できる。輸入レモンには防かび剤が使用されている場合があるため、皮ごと食べる際は、国産や有機栽培のレモンを選ぶか、十分に洗浄・下処理を行うことが必要。また、過剰な摂取は歯や胃への影響、空腹時摂取による胃への刺激などにも注意が必要。カビが生えたレモンは、カビ毒を産生している可能性があり、見た目上カビの部分を取り除いても安全ではないため、カビが生えたレモンは食べずに廃棄することが推奨される。檸檬も自家栽培が可能である。

柿はビタミンC、β-カロテン、カリウム、食物繊維、タンニンなどの栄養素を豊富に含む。これらは、免疫力向上、美肌効果、整腸作用、塩分排出の促進、二日酔い予防などに役立つ。 これらは、生活習慣病の予防、美肌、免疫力向上、便秘解消などの健康効果が期待できる。柿1個で1日の必要量をほぼ満たすほど豊富に含まれている。また、柿の皮には、実よりも多くの栄養素が含まれており、特に食物繊維、タンニン、β-カロテン、ビタミンC、カリウムなどが豊富。ただし、食べすぎると胃石の原因になる可能性もあるため、注意が必要。
柿の残留農薬には、殺虫剤の「オルトラン水和剤」「ダントツ水溶剤」「アディオン乳剤」などがあり、これらは病害虫の防除に用いられる。また、殺菌剤として「ジマンダイセン水和剤」なども使われる。これらの農薬は、柿の栽培中に散布され、収穫後に果実や木に残る可能性がある

苺には、ビタミンC、食物繊維、葉酸、アントシアニン、カリウム、キシリトールなどが豊富に含まれる。ビタミンCは免疫力向上や美肌に、食物繊維は腸内環境改善に、葉酸は貧血予防や妊娠中の胎児の発育に重要。また、アントシアニンには目の健康維持に役立つ抗酸化作用がある。
一方で、日本の苺は、多くの残留農薬が検出される。これは使用する農薬種類(293農薬、臭素含む)が多く、また収穫直前まで散布しているため。日本のいちご農家は、平均で年に36回から65回もの農薬散布を行っているという報告もある(福岡県63回 長崎県65回 栃木県52回 三重県41回)。(プロシミドン(灰色かび病 菌核病に使われる、収穫前日まで使用可能)、EUでは使用禁止(輸入いちごに対して0.01ppmという基準値)に対し、日本では残留許容基準10ppmという甘さ。また輸出先で基準値を超過して不合格になるケースもある。
ブルーベリー
 ブルーベリーは、アントシアニン、ビタミンC・E、食物繊維、ミネラルなどの栄養素が豊富です。特に、眼精疲労の軽減や抗酸化作用を持つアントシアニンが特徴的で、ビタミンCとEも美肌や健康維持に有効。アントシアニンは水溶性で体内に蓄積されにくいため、毎日こまめに摂取することが効果的。冷凍しても栄養価は変わらないため、冷凍ブルーベリーを活用するのも良い方法。ブルーベリーも農薬を使用する場合があるので農薬不使用のものを選ぶ必要がある。ブルーベリーは栽培しやすく場所も取らないので自家栽培に適している。